アジアの人々に多大な被害を与え日本国民にも未曾有の「犠牲」を強いたアジア太平洋戦争、その終結から50余年をへた現在戦争の評価をめぐって激しい意見の対立があるのは何としたことでしょうか。
戦後の歴史研究は日本帝国主義による侵略戦争であったことを論証し、昨今の市民運動もアジアの人々に対する非人道的な加害の事実を検証しています。その一方で日本による侵略や加害の事実をあいまいにし戦争美化を企てる勢力が大きくなっています。
1996年12月に岡山県議会は中学校教科書から「従軍慰安婦」・「三光作戦」記述削除を求める陳情を趣旨採択しましたが、この事件は私たちに二つの教訓を示しました。一つは歴史の真実は明るみに出され継承されないと風化するだけでなく歪曲・偽造される危険性のあること、二つ目は日本軍一般の加害行為に帰すのでなく、父や叔父や祖父の犯した行為というように、地域レベル・家庭レベルの、私たち一人ひとりの問題として考えていくことの大切さです。

 

 かつて岡山の人々はさまざまな形で戦争に関与しました。国家の意志を先取りまたは同調し一般住民への橋渡し役を担った官吏・教育者・財界人などの地域支配層や、在郷軍人会や産業報国会や国防・愛国婦人会などファシズム組織で旗振り役を任じた人たちがいました。反戦運動に挺した人たちもいましたが、大部分の人々はこれらの組織に組み込まれて「銃後の守り」手として軍需産業へ駆り出されました。また中国や朝鮮の人たちを強制連行し使役しました。兵士や満蒙開拓団をはじめとする多様な人々がアジア各地で日本による占領地・植民地支配を支えました。

 

 現在これらの体験者や戦跡は消滅の危機に直面しています。しかし岡山県の戦争体験はこれまでどれほど発掘され、客観化され、歴史の逆流を阻止しうる「地域の叡智」にまで高められ、そして継承されたでしょうか。現在は、そのことを為しうる最後の機会かもしれません。

 

 本会は、岡山県における戦争を支えた人々の体験の記録・戦争遺跡の調査・資料収集などをとおして、侵略戦争の構造を地域レベルで明らかにします。そこから戦争の芽をいち早く摘みとり平和を築くための「地域の叡智」を学び、21世紀へ継承・共有していきたいと考えています。

 

1998年11月

第1条(名称)この会は、岡山・十五年戦争資料センタ-と呼ぶ。

 

第2条(目的) この会は、岡山における十五年戦争の実態と構造を明らかにするため、調査・研究、史(資)料の収集などを行ない、再び戦争による惨禍を繰り返さないための教訓を継承する。

 

第3条(活動)この会は、前条の目的を達成するため、年1回の発表会など必要な活動を行なう。

 

第4条(会員)この会は、会の目的に賛同し、調査・研究等を行なう研究会員(個人)と、活動を支援する協力会員(個人)で構成する。

 

第5条(入退会)この会の入退会は自由とする。入退会のさいは書面で代表に届け出る。

 

第6条(役員)この会には、次の役員をおく。

 

代表1名、事務局長1名、理事 若干名、監査委員2名

 

第7条(役員の選出) 役員は、総会で選ぶ。

(略)

 

第14条(経費)この会の経費は、研究会費・協力会費・寄付金・事業収入その他でまかなう。

 

研究会費は、年額3000円とする。

 

協力会費は、年額1口1000円とする。

 

第15条(会計年度)この会の会計年度は、毎年12月1日から始まり、翌年11月30日で終わる。